乳歯の生え始めが遅いときの原因と対策とは?

赤ちゃんの歯は、生後数か月もすれば自然に生え始めるものです。しかし、中には「なかなか歯が生えてこない」「ほかの赤ちゃんよりも遅い気がする」といった悩みを抱える場合もあります。特に、初めての子育てだと、そうした状況に不安を感じるお母さんも多いのではないでしょうか。そこで今回は、赤ちゃんの歯が生え始めるタイミングや、歯がなかなか生えてこない理由、さらにはその対処法について詳しくお伝えします。

赤ちゃんの歯が生え始める時期と順番

赤ちゃんの最初の歯はすべて乳歯で、生える位置や種類には決まった順番があります。

・生後6~9か月:下の前歯(下顎中切歯)が生え始めます。

・生後9~10か月頃: 上の前歯(上顎中切歯)が顔を出します。

・生後11か月~1歳頃: 上下に側切歯が生え、前歯が揃います。

・1歳2か月~1歳半頃: 第一乳臼歯(奥歯)が生え、食べ物をすり潰す力がつきます。

・1歳9か月~2歳頃: 犬歯が生え、噛む力がさらに強くなります。

・2歳半頃: 第二乳臼歯(奥歯)が生え、乳歯がすべて揃います。

赤ちゃんの歯

歯が生え始める時期や順番には個人差があるため、上記の通りでなくても心配する必要はありません。2歳半から3歳頃までに乳歯が揃っていれば、歯の発育としては問題ないと考えられます。歯の生え方や時期に不安を感じたら、ぜひ当院へご相談ください。

◇赤ちゃんの歯が生え始めるサインとは?


赤ちゃんの歯が生え始めると、口の中や様子に変化が現れることがあります。歯茎が少し腫れたり、赤ちゃんが不快そうに感じることが増えるため、食欲が落ちたり、夜泣きが多くなったり、機嫌が悪くなることがあります。これらの様子が見られたら、歯が生えてくる準備が進んでいるサインかもしれません。

歯科衛生士

◇生まれつき歯が生えていることも


中には、生後間もない赤ちゃんにすでに歯が見られることがあります。このような歯は「先天性歯(魔法歯)」と呼ばれ、早い段階で生えるため、エナメル質が弱かったり、ぐらついたりすることがあります。先天性歯は自然に抜けるケースが多く、通常は経過観察で様子を見ます。ただし、授乳中に赤ちゃんの歯が舌を傷つけたり、お母さんの乳首に傷をつけるといったトラブルが起こる場合には、歯を抜いたり削ったりする処置が必要になることもあります。

お母さんと赤ちゃん

1歳を過ぎても歯が生えてこない!その原因と対処法

生後6か月を過ぎ、1歳を過ぎても歯が生えてこない場合、以下のような要因が関係している可能性があります。

◇乳歯萌出遅延


「乳歯萌出遅延(にゅうしほうしゅつちえん)」とは、1歳を過ぎても歯が全く生えてこない状態のことです。この原因には、生まれたときの状況が関係していることがよくあります。たとえば、赤ちゃんが低体重で生まれたり、予定日よりもかなり早く生まれたりすると、体の成長に必要な条件が十分に整わず、歯が生え始める時期が遅れることがあります。


対処方法

乳歯萌出遅延の場合、成長が少し遅れているだけで、3歳頃までには乳歯が揃うことがよくあります。そのため、多くの場合はしばらく様子を見て経過を観察します。ただし、歯がなかなか生えてこない場合には、治療が必要になることもあります。

治療では、歯茎の骨に小さな穴を開けて歯が出てくるのを助ける「開窓(かいそう)」や、歯を少しずつ引っ張り出す「開窓けん引」といった方法が使われます。

◇癒合歯


「癒合歯(ゆごうし)」は、本来1本ずつ生えるはずの歯が2本くっついて生える状態を指します。この状態では、乳歯から永久歯への生え変わりがスムーズに進まない可能性がありますが、幼少期に発見されてもすぐに治療が必要となるわけではありません。生え変わりが始まる5~6歳頃に状況を確認し、必要に応じて治療を進めることになります。


対処方法

癒合歯の場合、歯の溝をプラスチック素材の「シーラント」で埋める方法が使われることがあります。また、状況によっては抜歯が必要になることもあります。癒合歯は溝が深く歯垢が溜まりやすいため、毎日のブラッシングがとても大切です。親御さんがしっかりと仕上げ磨きを行い、溝の中まできちんと磨けているか確認しましょう。

◇先天性欠如


「先天性欠如(せんてんせいけつじょ)」とは、生まれつき歯の本数が足りない状態のことです。足りない歯の数は1本だけの場合もあれば、複数本の場合もあり、人によって異なります。原因はまだはっきりしていませんが、遺伝や病気、薬の影響が関係していると考えられています。先天性欠如があると、永久歯も足りなくなることが多く、歯並びが悪くなったり、虫歯になりやすくなったりするリスクが高まります。さらに、食べ物をうまく噛めず、話しづらくなるといった日常生活での不便さを感じることもあります。


対処方法

小学校に入るまでは成長を見守り、その後、必要に応じて治療を始めることが多いです。治療には、歯列矯正やブリッジ、部分入れ歯などがあり、足りない歯を補ったり歯並びを整えたりすることで、噛む力や見た目を良くします。

放置すると大変です

お子さまの乳歯が生えないままにしておくと、歯並びや噛み合わせが悪くなることがあります。特に、しっかり噛めないと、顎の成長や言葉の発音に影響が出ることもあります。また、乳歯の遅れが原因で、将来の永久歯が正しく生えないリスクも高まります。

歯ブラシを持った歯科衛生士

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赤ちゃんの歯が生える時期や様子は一人ひとり異なります。そのため、少しくらい遅れても心配はいりません。ただし、明らかに遅れていたり、生え方に問題があるように見えたりする場合は、早めに対処することが大切です。対処方法は専門的な判断が必要となりますので、不安なことがあれば、いつでもお気軽に当院へご相談ください。

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